Natural

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翻訳については正確さも大事だけど、訳文の仕上がりが自然であることも同じくらいに重要だと僕は考えている。だから、僕は一旦文を訳してから語句を色々入れ替えたり、単語を差し替えたり、あるいは文の前後を逆にしてみたりと、いつもかなり悩む。というか、そこで悩まなければ訳者失格である。共感できない訳文では意味がないし、翻訳調も使うべき時と使うべきでない時がある。自然な訳文こそ、訳文の読み手が種々様々な「物語」を受け入れ、その「物語」に感情移入し、ひと時の知的冒険を心行くまで満喫するための最低必須条件である。

Bangladeshi

BANGLADESH 2

言葉って、面白い。
日本語や英語だけでなく、全世界の言葉が面白いと僕は思う。例えばバングラデシュ語。日本語で「高田馬場」というとバングラデシュ人は笑う。なぜなら「タカ」がバングラデシュ語で「お金」を意味し、「ダノ」と聞こえる「ダウナ」が「ナニナニを頂戴」、「ババ」が「パパ」を意味するので、日本語の「高田馬場」は「パパ、お金を頂戴よ」というような意味になる。まぁ、くだらない語呂合わせだが、若い頃に東京で共に汗を流して働いた日本語勉強中のバングラデシュ人たちの笑顔を僕は一生忘れることはないだろう。

Imagine by John Lennon

 

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想像してごらんよ
天国すら存在しない世界を
簡単なことさ
地獄も存在せず
天には空が広がるばかりで
すべての人が今に生きる
そんな世界を想像してごらん

国境のない世界を想像してみよう
決して難しいことじゃない
人を殺めることも
なにかのために死ぬこともない
宗教だってそうさ

想像してごらん
平和に生きる僕たちの姿を
君は僕のことを夢想家だと言うかもしれないが
僕だけのことじゃないさ
いつの日か君も仲間に加わり
世界がひとつになるといい

すべてを分かち合う世界に
君もついてくるかい
貪欲さや飢饉の存在しない
人類結束のことさ

想像してごらん
みんなですべてを分かち合う世界を
君は僕のことを夢想家だというかもしれないが
僕だけのことじゃないさ
いつの日か君も仲間に加わり
世界はひとつになるだろう

Rap, Reggae and the Blues

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ニューヨーク市のブロンクス地区で生れたとされるラップミュージックはジャマイカンレゲェの「トースティング」という、言葉をビートにのせて喋るように歌う歌唱法をルーツに持つ。70年代当時のジャマイカ人が日本製の安いキーボード(カシオ製やサンヨー製)を学校の音楽教室などから手に入れ、クラブやダンスホールでそれらのキーボードに内蔵されたリズムマシンに合わせてレゲェを歌っていたのがニューヨークに飛び火してラップになったとされている。まぁ、しかし、ラップの祖先はたしかにレゲェかもしれないが、僕はラップミュージックのアメリカ文化における位置づけは、むしろブルーズの流れをくむアメリカ最貧困層の、時に楽しく、時にもの悲しく、そして時に殊更美しいアメリカ独自の音楽文化、抒情詩文化だと考えている。(写真:J Dilla)

Narrative Style

文体とは文のスタイルのことだけでなく、言葉を使って物事を考える姿勢、つまり知的アチチュ─ドのことでもある。戦後の日本のある意味自由で知的で洗練された空気や物の考え方は大きくその時代の小説家、 随筆家や文化人の文体、そしてその文体が象徴する物の見方や捉え方、そしてさらに文体のアチチュ─ドや美的感覚に擬えて形成されたものである。(Art by Miki Takahashi)