Beautiful Japanese

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僕の大好きな日本語は、日本在住の外国人が操る、つたない日本語、そして、時に途方もなく達者で、的確で、プラクティカルな日本語である。僕の父はアメリカ人で、日本にも長く住んでいた。父は僕の母方の祖父から多量の日本語の本を授かり、僕はそれを父の本棚から拝借して読んだ。祖父はもともとアララギ派の歌人で、大戦中は技術者をしていたものの、本ばかりは何万冊と持っていて、珍しい辞書や、種々様々な、かなり仰々しい辞典の類も多く持っていた。だから、父の日本語力は相当に優れているし、独特の日本的な生活臭のようなものを表現するのが殊更にうまい。僕の周辺には、素晴らしい日本語の使い手が他にも沢山いる。友達のフィリピーナは夜の世界で働いていて、日本には数年しかいないのに、その見事な日本語には感服する他ない。きっと、爽やかなトークで毎夜客を魅了しているに違いないし、時々間違えて変な日本語を使うのは、わざとだと僕は承知している。カンボジア出身の難民である僕の友人は、東京で韓国人と共同経営で焼肉屋をやっていて、時々日本語がコリアン風になるのは、日本独自の歴史と、今時の日本社会の多様性を物語っている。オーストラリア人の日本語、ネパール人の日本語もそれぞれ実用的で美しく、訛りもいかにもそれ風で、僕は大変に気に入っている。

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