Detail

翻訳者や字幕制作者がわかりやすさを優先するがあまり、日本語作品の仕上がりが著しく通俗的で、軽い内容になることがよくある。僕が本を読んだり映画を観るときは、その世界にドップリ浸ることが好きで、良い作品であればあるほど、その作品世界のすべてを知りたくなる。すべての会話、場所、時代背景や社会的背景、細かいディテール、ジョーク、興味は尽きないし、そもそも本を読んだり映画を観たりするのも、日常の生活からひと時だけ、自分とは違う世界、そして自分とは違う世界観を垣間見たいからである。作品の内容を薄くしてまで読みやすく観やすくする理由は特にない。必要なら注釈をつける、まえがきやあとがきをつける、解説をつける、読者やファンに情報交換の場を設ける、パンフレットを配布する、事前事後に予備知識を与える方法はいくらでもあるし、それくらいは今時容易いことだとも考える。

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